マネジメントツールとしての「知的資産経営」

これまで知的資産経営について、どのようなものであるのかをざっくりと紹介してきました。

では、知的資産経営は、企業にとって具体的にどのように活用できるのでしょうか。

 

ひとつめは、「マネジメントツール」としての活用です。

 

自社の企業活動そのものを「価値創造ストーリー」という形で”見える化”している訳なので、企業内のどの活動がどのように利益に繋がっているか、あるいは繋がっていないのかが把握できます。

ということは、これまで当たり前と思って行ってきた活動が実はムダな活動だったとか、前後の関係をみて、よりよいやり方を考えるなどのアクションに繋がっていき、結果として、経営や業務の効率化、カイゼンといった活動に発展していくことが期待できます。

 

また、現在顧客に提供している価値をさらに強め利益を向上させるにはどうすればいいのかを検討することも可能です。
現在行っている活動を強化するもよし、新たな活動を追加するもよし、それにより「価値創造ストーリー」が強化されるよう工夫すればいいのです。

 

さらに、環境の変化によりこれまでの「価値創造ストーリー」では十分な”価値”が提供できない事態に陥ったとしても、どこをどう変えればいいのかを検討することもできます。

 

このように、知的資産経営を「マネジメントツール」として活用することにより、自社の「強み」をさらに強化したり、効率化を図ったり、さらには環境の変化に対応したりといったことが比較的容易に行えるのです。

 

 

別の活用方法として、社内教育や従業員のモチベーション向上にも活用することもできます。

「価値創造ストーリー」から、従業員に対してどのような技術ノウハウを習得してもらえばいいのかが分かりますし、これを共有することで従業員自身に考えてもらうことも可能です。

また、企業としての取り組みや価値を従業員に伝えることで、従業員の企業に対する理解を深めてもらうとともに、自分のやっている仕事の意味が把握でき、そのことがモチベーションの向上に繋がっていくのです。

こうして従業員との結束を固め、よりよい経営体制へと変えていくこともひとつの活用方法となります。

 

 

「事業承継」にも活用できます。

後継者は、企業活動そのものを表現している「価値創造ストーリー」を把握することで、企業の全体像を的確に把握することができるようになります。

そのうえで、事業を継ぐ前になにを理解し学んでおかなければならないのか、そして事業を継いだ時になにに気をつけなければならないのか、などの必要事項を漏れなく対処することができるため、スムーズにかつ短期間で引き継ぐことを可能となります。

 

 

もともと知的資産経営が生まれた背景のひとつに「マネジメントツール」としての活用が期待されていたこともあり、上記のように幅広く企業活動に応用され効果を発揮するツールとして用いられることが多いです。

 

上記のことでお悩みの企業は、ぜひ「知的資産経営」に取り組まれてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

在留外国人が出国するには

在留資格を持ち日本で生活する外国人には、日本人と違ういくつかの制約があります。

そのひとつが「出国時の制約」です。

 

在留資格は、法律上は「日本国内に滞在する外国人」に対して特別に与えた許可です。

ですのでこの許可は、その外国人が日本に滞在している状態でのみ有効となります。

これを裏返すと、その外国人が日本から出国した時点で「日本国内に滞在する」という状態ではなくなり、その身分のうえに成立していた在留資格は当然のように消えて無くなります。

 

この考え方は一般的に理解されにくいかもしれませんが、例えば「結婚している専業主婦は国民年金第3号被保険者になる」というものがありますが、離婚した時点で「結婚している専業主婦」という状態ではなくなり、当然に「第3号被保険者」という資格が消えてなくなることと同じ考え方です。

 

決して「在留資格」というものが独立して付与されている訳ではなく、あくまでも「日本国内に滞在する」外国人という地位のうえに成立しているということをご理解ください。

 

そのため、在留資格を持つ外国人が日本国から出国してしまうと、その時点で在留資格を失います。

再度日本に入国するためには、改めて在留資格の取得手続きからはじめる必要があります。

以前取得していたからとか、ちょっとだけ離れただけじゃないか、などという言い訳は一切通用しません。

 

厳しいのではないかと思われるかもしれませんが、そもそも在留資格は状況や身分などを勘案し”特別に滞在することを許可”するものであって、本来は入国するごとに状況等は変わるので都度審査するのが原則なのです。

 

 

ですが、実情を言えば、いったん日本に滞在し始めたあと一時的に国外に行かなければいけないことも多々あります。

そこで予め入国管理局に許可を貰えば、現状の在留資格を維持した状態で”特別に”一時的に国外に出ることを認めることとしています。

これが「再入国許可」です。

 

このように、在留外国人はそもそもを日本人と立場が違うことを認識することが大切です。

 

 

なお、今年7月の在留制度の大改正に伴い、「再入国許可」に関しては「みなし再入国制度」というものが新たに設けられました。

これは1年以内に再入国するのであれば、出国時に簡単な手続きで「再入国許可」をしたことにする制度です。ただし以下の制約があります。

・1年を超えての出国は不可

・1年を超えての出国先での延長手続は不可。事情を問わず1年以内に再入国しなければならない。

 

上記に当てはまりそうな場合には、従来通りの「再入国許可」申請が必要となります。

 

 

 

行政書士業務:著作権関連

著作権は、「著作物」に対する著作者の権利であり「知的財産権」のひとつとして位置づけられています。

いわゆる”CopyRight”なども、その権利を表明する一手段としてよく用いられています。

日本においては、著作権については著作権法により保護されています。

 

著作権は、特許権や商標権などと異なり、登録しなくても「著作物」ができた時点から無条件に発生する権利です。そのため著作権については、トラブルがあってはじめて両者の証拠をもとに個別判断されることになります。

よくあるトラブルとしては、

・模倣による著作権侵害

・著作物の不正利用、無断使用

があり、その他にも「著作権」の範囲や運用方法を知らなかったがために引き起こされたトラブルも少なからず存在します。

 

こうした「著作権」に関するトラブルを未然に防ぎ、安心して「著作物」を活用できるようにするお手伝いを行政書士が行っております。

 

具体的には以下の業務を行っています。

 

■「著作権」登録

「著作権」そのものは登録しなくても発生しますが、文化庁にて登録管理もしています。

文化庁に登録することで第三者への権利の主張がしやすくなることから、重要な「著作権」について登録される方もいらっしゃいます。

なお、報酬をいただき本人の代わりに文化庁への申請業務を行えるのは行政書士のみです。

 

■「著作権」に関する契約書作成

「著作権」はやや複雑で、その権利行使や移譲などの際にさまざまな点を考慮しなければならないことも多くあります。

そのため、キチンと「著作権」についての知識をもった行政書士が関与し契約書という形にまとめることで、後のトラブルを未然に防止することができます。

 

■「著作権」に関する相談業務

「著作権」には「複製権」「上映権」「口述権」「頒布権」「譲渡権」「貸与件」「翻訳権」など様々な権利で構成されています。

そのためこうした各権利の内容をしっかりと把握していないと誤った権利行使、権利の侵害に繋がることとなります。

そこで、「著作権」についての専門家である行政書士にご相談いただくことで、適切な権利行使の実現や不測の権利侵害の未然防止を行うことができます。

 

 

なお、「特許権」「商標権」については弁理士が取り扱っております。

 

 

 

企業のあるべき姿と「知的資産」

「知的資産」は、企業の利益を生み出す源泉です。

もう少し詳しく説明すると、「企業理念・方針」>「マネジメント」>「技術・ノウハウ」>「製品・サービス」に至る一連の「知的資産」によるストーリーによって生み出され提供される”価値”が、企業に利益をもたらすということです。

ということは、企業は自社の保有する「知的資産」がキチンとストーリー上に配置され効果を及ぼしている状態が理想的といえます。

 

ところが、現実にはストーリーに乗れていない「知的資産」が点在しているケースも見受けられます。

せっかくの「知的資産」を活かしきれていない”宝の持ち腐れ”状態にある訳です。

なぜそのような状態になってしまうのかについては様々な原因が考えられますが、一番大きいのは”それを「知的資産」と気づいていなかった”、もしくは”重要な資産と考えていなかった”という点ではないかと思われます。

 

「知的資産」は、それ自身が「資産」であることがなかなか気づきにくいものです。

そのため、特に「知的資産経営」を意識せず経営している場合には、企業活動の過程で生み出される「知的資産」が徐々に繋がりストーリー化されていくなかで、うまく繋がらず単発で残ってしまうものが散在することになりやすいのです。

 

限られた有形資産で勝負をする中小企業にとっては、「知的資産」はもっとも重要な資産といえます。

そう考えると、”宝の持ち腐れ”となっている「知的資産」は、キチンと有効活用できるよう、現状の「知的資産」ストーリーに組み込むことを検討することが大切です。

そしてそのことにより、よりよい”価値”を提供できるようになることが期待でき、結果として更なる利益の創出に繋がる可能性があります。

 

また、その「知的資産」に関する活動は、いままでは利益に直結しないある意味無駄な活動だった訳で、これを活用できるようにすることで社内での業務効率化の促進にも繋がります。

 

このように、保有するすべての「知的資産」が、”価値”を生み出す「知的資産」ストーリー上に配置され最高のパフォーマンスを得られる状態こそが、企業としてのあるべき姿と考えます。

そのためにも、自社にある「知的資産」の棚卸とそれを繋ぐストーリー、そしてそこから生み出される”価値”をしっかり整理、分析することが大切です。

 

そして、整理、分析した結果を「知的資産経営報告書」の形にまとめ上げておくと、その後のマネジメント、プロモーションその他様々な企業活動に大いに役立ちます。

 

次回以降は「知的資産経営」および「知的資産経営報告書」の具体的な活用方法をご紹介いたします。