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行政書士業務:入管業務関連

入管業務は、正しくは申請取次業務といい、士業として取り扱うことができるのは弁護士と行政書士のみです。

ただし、実際に申請取次業務を行うためには、あらかじめ入国管理局が取扱を承認されている必要があり、弁護士や行政書士なら誰でもできるという訳ではありません。

さてこの申請取次業務ですが、具体的には日本に滞在する外国人の在留ビザに関する手続きの申請を取次ぐことを業務としています。

 

外国人が日本に滞在するためには、なんらかの在留ビザが必要となり、その取得のための手続きは本人が入国管理局に出頭して行うのが原則となっています。

ですが、申請取次業務を行うことができる者が、本人の代わりに申請手続きを代行し、本人は出頭しなくても済むようにすることができるのです。

申請が許可されるかどうかについては、入国管理局の裁量も大きく、できるだけしっかりとした情報を揃えたうえで申請したほうが許可の可能性が高まることから、専門家である申請取次業務取扱行政書士の果たす役割は大きいと言えます。

 

さて、在留ビザに関する手続きには、大きく以下の種類があります。

 

●在留資格認定証明書の交付手続き

外国人が日本に来るためには、まず適切な在留資格を取得する必要があります。

そのために”日本国内”にて、入国管理局にて事前審査し「在留資格認定証明書」を発行してもらい、それを海外にいるその外国人に送付。証明書を受け取った外国人は、現地の在外公館にそれを提出しビザを受け取ります。

 

●在留期間更新の手続き

在留ビザには、「永住」などのごく一部の資格を除き、6か月から最長5年までの有効期間が定められています。

有効期限が切れる前に、その更新の手続きを行い、改めて資格の要件を満たしているかの審査を受けたうえで許可されることになります。

 

●在留資格変更の手続き

在留ビザには27の資格区分があり、それぞれの資格に応じた活動しか許されません。また、資格の要件も定められていますので、要件を満たさなくなった場合、もしくは活動内容を変更したい場合には、変更の旨を申請し、審査を受けなければなりません。

 

●就労資格証明書の交付手続き

現在の就労資格での活動範囲を証明したい場合に、入国管理局に申請して「就労資格証明書」を交付してもらえます。

 

●資格外活動許可の手続き

在留ビザの種類によっては、就労してはいけないものもあります。代表的なものに、「留学」「家族滞在」などがあります。

また、現在の在留ビザで許可されている以外の職を兼務したい場合もあります。例えば「技術」では通訳や語学教室の教師をアルバイトで行うことができません。

このような場合に、「資格外活動」したい旨を入国管理局に申請することにより、活動範囲を広げることができます。

もっとも、広げられる範囲には制約がありますし、無条件で認められる訳ではありませんので、注意が必要です。

 

●再入国許可の手続き

在留外国人が、一時的に日本を離れる場合には、あらかじめその旨を申請し許可を得る必要があります。

この許可を得ずに出国してしまった場合、在留許可そのものが消滅してしまうので、再入国しようとするためには、改めて在留資格認定から始めなければいけません。

 

 

こうした手続きを代行し、外国人が安心して日本で暮らせるようにサポートすること、またキチンと手続きをすることで不法滞在や不法就労を減らすことが、申請取次業務を取り扱う行政書士に求められていることです。

 

 

 

「知的資産経営」における評価指標

「知的資産経営」とは、企業の利益の源泉となる”強み(知的資産)”、その”強み(知的資産)”を生み出すストーリーをキチンと把握し効果的に活用することで、よりよい経営を実現していくものです。

さて、この”強み”ですが、誰からみても”強み”と思ってもらえるものでなければいけませんが、もうひとつ「どの程度」強いのかという点も重要になってきます。

というのも、”強み”が競合他社との優位点にならなければ、利益の源泉とは成り得ないからです。

ということは、その”強み”が競合他社を基準とした場合にどの程度の強さを持つのか、ということがある程度客観的に見えることが必要なのです。

 

例えば、同種製品で市場シェアが60%の商品Aと30%の商品Bでは、商品Aを提供する企業のほうが明らかに優位です。

ですので、その企業は”他社より圧倒的な市場シェアをもつ商品”という”強み(知的資産)”をもち、その度合は数値で測ることが可能です。

 

ところが、”他社よりも優れた営業力”という”強み(知的資産)”を考えてみましょう。

これを競合他社と比較して、どう評価すればいいのでしょうか。

”うちには営業が他社より2倍いるから”といったところで、あまり有能でない営業が2倍いても”強み”とはいえませんよね。むしろ半分しかいない他の企業のほうに優秀な営業が揃っていたら、どちらに営業力があるのか分かりません。

 

 

このようなときに役に立つのがKGI(key goal indicator:重要目標達成指標)、およびKPI(key performance indicator:重要業績評価指標)です。

KGI、KPIともに、もともとは企業目標やビジネス戦略を実現するために設定した具体的な業務プロセスの達成度合いを評価するための指標として用いられるものです。KGIは目標達成の成果を定量的に表すのに対し、KPIはその過程の達成度合いを定量的に測定するために用いられます。

 

具体的には、「利益拡大」という企業目標があった場合に、KGIとしては「売上高」「利益率」「成約件数」など、KPIとしては「顧客訪問回数」「解約件数」「注文件数」などが挙げられます。

それらの指標が具体的にどういう数値になるべきかを決めることが、間接的に企業目標の達成条件、および達成するための進展度合いの評価基準を決めることになります。

もちろん1つだけに限定する必要はなく、むしろ複数の指標を組み合わせ評価するほうが、いくつかの角度から見ることができるので、望ましいです。

 

 

「知的資産経営」でも、このKGIとKPIを活用することで、先ほどの”他社よりも優れた営業力”という”強み(知的資産)”を間接的に評価することが可能となります。

商談を発掘し獲得(成約)することが営業の目的です。ですので、例えば「受注率」「成約率」などがKGIとして挙げられ、「1日あたりの顧客訪問数」「商談化数」「商談進展率」などがKPIとして挙げられます。

 

そして大切なことは、これを競合他社と比較できるようにすることです。

もちろん他社の情報を漏れなく把握することは難しいですが、外から見える範囲でもある程度推測できるものです。

こうすることで、「どの程度」強いのかを、ある程度客観的に見えるようにすることが可能となります。

 

”強み(知的資産)”を具体的に評価するには、KGI、KPIを活用しましょう。

 

 

 

契約の形態

契約には、「売買」「贈与」「賃貸借」「消費賃借」「使用賃借」「寄託」など13種類の形態が民法で定められています。

ですが、その型に当てはまらないものは契約として成立しないかというと、そんなことはありません。

以前にもお伝えしたように、契約は当事者間の意思表示の合致で成立し、その内容は無効となるものでない限り有効なのです。

 

ではなぜ13種類の契約形態が定められているかというと、契約行為の簡素化のためです。

 

本来であれば、契約のたびに当事者間でひとつひとつ決め事を合意する必要があります。

仮に重要な事柄にもかかわらず合意事項から漏れてしまったら、深刻なトラブルになりかねませんから、そうしたリスクを回避するためには、かなり慎重に契約内容を詰めなければならないことになる訳です。

それはかなり大変なので、一般によく用いられる契約形態での基本事項を定めておいて、その部分を当事者間で合意していない場合には、その基本事項に基づいて合意したとみなすこととしたのです。

これにより、必要最低限のことだけ合意確認すればいいのでかなり簡素化されますし、おおざっぱな契約をしてしまった場合でも、法令によって足りない部分が補完され、まんいちトラブルになった場合でも、裁判所にて法令にもとづく客観的な判断により迅速に解決が図れるという訳です。

 

逆にいうと、ある程度キチンとその形態に定められている内容を知っておかないと、あとから「そんなことは知らなかった」「そんなつもりではなかった」と言っても仕方がないのでご注意を。

 

すべての形態を解説するのは大変ですので、気をつけておきたい点を列挙しておきます。

 

双務契約か片務契約か

契約の当事者双方とも相手になんらかの義務を負うものを「双務契約」、当事者の一方しか義務を負わないのを「片務契約」と呼びます。

双務契約の場合、お互いに義務を果たすことが求められるので、一方が義務を果たさない場合に、他方も相手への義務を果たさなくてもいいという決まりごと(これを同時履行の抗弁権と言います)があります。

双務契約の代表例は「売買」「雇用」「請負」「賃貸借」で、片務契約の代表例は「贈与」ですが、当事者双方ともなにかをすることが求められているかどうかで概ね判断することができます。

仮にトラブルになったときには、どちらのパターンなのかを意識するとよろしいかと思います。

 

有償契約か無償契約か

契約に伴い、相手に対価を支払う必要があるものが「有償契約」、そうでないものが「無償契約」です。

有償契約の代表例は「売買」「雇用」「請負」「賃貸借」で、無償契約の代表例は「贈与」です。

有償契約の場合には、対価や提供物に対しての提供する側の責任範囲が大きく、一般に期待されるものより低品質なものを提供した場合に、補償しなければならない義務が生じます。

例えば、有償契約である「売買」により購入したものがどこか故障していたら、売主に対してなんらかの対応を求めることができますが、無償契約である「贈与」で貰ったものに対しては、どこか壊れていても文句はいえないことになります。

 

諾成契約か要物契約か

当事者間の合意のみで成立するのが「諾成契約」、目的物の引渡しも行われはじめて成立するのが「要物契約」です。

契約では諾成契約が原則ですが、「消費賃借」「使用賃借」「委託」については、対象となるモノを相手に渡さないと契約そのものが成立しないこととされています。

「消費賃借」の代表例はローン契約です。借りたはずのお金がまだ手元にないのに、契約が成立したとされ利息を取られるのは変ですよね。

 

要式契約か

「要式契約」とは、例えば必ず書面で行うなど一定の方式にもとづいて契約をすることを求められるものです。

代表例は「保証契約」で、キチンと書面にて契約を行わないと無効とされますので、ご注意ください。

 

 

このように、契約を行ううえで、その内容や効果などを意識するだけでも、トラブルを未然に防ぐことができます。

ただ、なかなか細かい点をすべて把握することは難しいのも事実です。

契約を行うにあたり、なにか疑問などを感じるようであれば、お近くの行政書士にお気軽にご相談してみてはかがでしょうか。

 

 

 

行政書士業務:法人設立関連

法人設立も、行政書士の主要な業務のひとつです。

 

法人には、株式会社、NPO法人、医療法人、社会福祉法人、学校法人、組合等があり、それぞれ設立に必要とされる要件や手続きが異なります。

以下は、代表的かつ案件数の多い株式会社設立を例にご紹介していきます。

 

■定款、議事録等の作成

株式会社を設立するためには、必ず「定款」という会社の基本規則を作成しなければなりません。

また、会社の機関設計内容や定款の内容によっては、設立時に開催すべき会議の議事録も用意する必要があります。

行政書士は、定款作成代理、および議事録作成を業務として行うことができます。

また、定款を電子定款にて作成し電子公証にて申請を行うと、印紙代がかからないというメリットもありますが、その申請手続きを行政書士も行うことができます。

 

余談ですが、近年とみにテンプレート的に定款を作成する傾向が見受けられます。

これは格安で引き受ける事務所に多く見受けられる模様です。

ただ、定款をただの文書と考えていると、融資を受けたり大きな方向転換を考えたりする際に、実は融資を受ける際にマイナスとなるような記載があったり却下要因を含む内容だったとか、反対者の存在で立ち行かなくなるような規則になってるなど、思わぬ弊害が表面化するトラブルに見舞われることもございますので、ご注意ください。

 

■その他設立サポート

定款の作成段階での会社の機関設計のご支援、公的融資に関する申請サポート、営業に必要な各種許認可申請など、設立に関する様々なご相談に応じております。

 

なお、会社の登記申請は行政書士は行うことができませんので、自身で登記を行うか司法書士にお願いすることになります。

また同様に、税務署関連への届出は税理士、社会保険関連の届出は社会保険労務士の業務になりますので、行政書士が代行することはできません。

 

行政書士は、設立後を見据え適切に会社運営がなされるように各種資料を整えることが主たる役割とお考えいただければと思います。

 

 

 

「知的資産経営」はストーリーが重要

「知的資産」は、ざっくり言うと”企業の利益を生み出すもととなる強み”ですが、いきなり生み出されるわけではなく、そのもととなるモノがあります。

そして大抵は、そのモノも「知的資産」と呼べるモノだったりします。

 

例えば、”耐久性が他社製品の2倍”という製品があった場合、その強みとなる耐久性を実現できる”製造工程”なり”技術”を持っているはずで、これもまた「知的資産」です。

さらに、その”製造工程”や”技術”を蓄積できたなんらかの要因があるはずで、とある従業員が研修会等に通って習得してきたのだとすれば、そういう”研修会などに積極的に通わせた”というマネジメントが「知的資産」となり得ます。

そして、そもそも研修会に通わせたのは、事業主の意向であり、耐久性を向上させるためのノウハウが欲しいと思ってたとすると、なぜ耐久性を向上させることを考えたか、という部分に会社としての方針を伺うことができます。

 

このように、とある「知的資産」が存在するためには、それが生み出されるまでの一連の流れ=ストーリーが必ず存在するのです。

そしてその起点は、事業主の意向すなわち企業としての理念や方針であることがほとんどです。

 

この、企業理念・方針>マネジメント>技術・ノウハウ>製品・サービスまでの一連のストーリーを見つけ出すことが、企業の「知的資産」を正しく理解するうえでとても重要です。

 

その理由は大きく2つあります。

 

第一に、気がつかなかった「知的資産」を見つけ出すことができるという点です。

「知的資産」は、例えば製品の特長など、大抵は分かりやすいものから見つかります。逆にマネジメント系は気がつかないことが多いものです。

理由は簡単です。その企業にとって当たり前のことをしているだけですから、そのマネジメントが「知的資産」だとは気がつかないのです。

これを、製品の強みから「何故これが強みになっているのか」という問いかけを繰り返すことで、それを生み出すマネジメントまでさかのぼることができます。

そこで初めて、そのマネジメントが「知的資産」だと気付くことができる訳です。

 

第二に、「知的資産」を正しく維持、強化できるという点です。

先の例で、例えば経費削減と称して研修会への参加を自粛することにした場合、”技術”を維持できなくなり、次第に製品の強みが失われてしまい、「知的資産」を自らダメにしてしまう結果を招きます。

ちゃんとストーリーを把握していれば、例え経費削減を行わなければいけないとしても、研修会への参加は別だと、事業主が判断してくれれば、製品の強みを失わずにすみます。

また、研修会にただ参加させるだけでなく、その習得効果もチェックするようにすれば、技術の習得速度が向上し、さらに製品の競争力を向上させる結果が期待できます。

このように、ストーリーを意識することで、「知的資産」を維持するだけでなく強化することも考えられるようになるのです。

 

「知的資産」を効果的に経営に活かすためには、個々の「知的資産」の流れをストーリーとして捉えることがとても大切だと、お分かりいただけたのではないかと思います。

 

 

 

契約を取り消すこと、契約を解除すること

予約をキャンセルする、いったん購入した商品を返品する、契約を破棄する、など、「契約」を取り消す行為は一般的によく見受けられます。

実は、これらは法律学的にいうと、「契約」の「解除」という表現を用いて、「契約」の「取消し」とは区別しています。

どっちでも「契約」が無くなるのだから同じじゃないか、と思うかもしれませんが、その意味合いが大きく異なるため、区別しておく必要があるのです。

 

■契約の取消し

・もともと契約の成立自体に問題があり、一応有効とは扱われるが、契約自体の有効性に疑問があると扱われる。
・取消しを行えるケース、および取消権を持つものは法律によって定められたものに限られている。
・取消しは、取消権者の一方的な意思表示で成立する。
・取消しが行われると、契約は最初から無かったものとみなされる。
・契約の当事者は、原状回復(物事を契約時の状態に戻す)義務を負う。

 

■契約の解除

・契約の成立自体には問題が無く、有効に成立していたと扱われる。
・解除を行えるケースには様々なものがあり、当事者間の合意で決めることができるものと、法律で定められているケースとがある。
・解除は、解除条件を満たす場合に、解除できると定められた者(解除権者)による一方的な意思表示によって成立する。
・解除が行われると、契約は最初から無かったものとみなされるが、”解除したときから”と扱われるケースもある。
・契約の当事者は、原状回復(物事を契約時の状態に戻す)義務を負う。ケースによっては損害賠償責任を負う場合もある。

 

細かい部分での違いはもう少しありますが、概ね以上のような違いがあるとだけご理解いただくだけで十分です。

 

なお、「解除」を行えるケースとしては、以下のようなものがあります。

・契約の際に「解除条件」を定めており、解除条件が成立した場合に、解除できると定めた側からの解除
・一方が期限内に契約を実行しなかった場合の、他方からの法律に基づく解除
・両者の合意による解除

 

もっとも、日常生活をしている中では、上記の違いを意識することはさほど無いかと思いますが、「契約」にあたり以下の点は留意しておくことをお勧めします。

・契約内容に自分に不利な「解除条件」が存在しないか
・「解除条件」が自分に不利にならないよう定めるべきか

 

また、不利な契約を締結してしまい取り消したくても取り消せないと諦めないでください。

一見取り消しができないと思われるケースであっても、法律で定められた要件を満たすことで取り消せる場合があります。

 

行政書士は、そのようなケースについて対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

 

 

 

行政書士業務:営業許認可関連

なんらかの営業を行うには、管轄の官公庁に所定の許可や認可を受ける、もしくは届け出をする必要がある場合がほとんどです。

以下に代表的な業種をご紹介します。

 

■風俗営業

風俗営業というと、いわゆる性風俗をイメージしがちですが、あちらは「性風俗特殊営業」と言います。

風俗営業とは、ゲームセンターや麻雀店、クラブなどの娯楽、スナック、キャバクラ、ホストクラブ、料亭などの客への接待を伴うものが対象となっています。

業種によって1号から8号といった区分があり、それぞれで店舗の形状や設備品、営業の形態などが細かく定められています。また、青少年保護条例などとの兼ね合いもあったりして、単に所定の申請をすれば許可されるという訳にはいかない面があります。

そうしたことから、許認可のプロである行政書士が、そのサポートをすることが多いのです。

 

なお、12時を超えてお酒を出そうとすると、別途「深夜酒類提供飲食店営業」も必要となります。

・・・念のため。

 

■飲食店業

いわゆる料理店や喫茶店などの飲食を提供するお店、パン屋や菓子屋などの食品を販売するお店が該当します。

さほど難しい手続きではないので、自前で許認可を受ける方も多いのですが、必要に応じて行政書士がサポートしております。

 

■古物商営業

リサイクル業や古書販売、中古車販売などを営む場合には、「古物商営業許可」が必要となります。

”自ら使用する意図を持たずに仕入れ販売する”場合に該当しますので、転売を目的とするフリーマーケット、ネットで話題となった「ちどり」と呼ばれるオークション転売も「古物商営業許可」が必要です。

ケースにもよると思いますが、無許可で営業すると6か月以下の懲役または30万円以下の罰金となりますので、ご注意ください。

手続き自体はさほど難しい訳ではないのですが、管轄の警察署ごとに要件が異なったり、今後の展開を深く考えずに申請したがために不利益を被ることもあります。

そうした点から、行政書士がサポートするケースも多いです。

 

■宅地建設取引業

不動産業を営む場合には「宅地建設取引業」の許可が必要となります。

もちろん「宅建」の資格を有する者がいることも大前提ですし、他の要件もありますので、キチンと要件を満たしているのかの確認が重要です。

また、申請から許可が下りるまでの期間が長いこと、申請費用も安くはないことから、確実を期すため行政書士に依頼するケースが多いです。

 

■その他

美容院、理容院、薬局、介護事業なども営業するにあたり、事前に許可または届け出が必要です。

簡単な手続きで済むものもあれば、一定の要件が必要なもの、決められた書類を揃えなければならないものなど、様々あります。

 

最近は、必要な営業許認可についてネットでもかなり情報がありますので、自分で調べて対応できるものであれば自ら申請することも問題ないかと思います。

ただ、手間のかかりそうなものや、あらかじめ管轄の官公庁と事前調整が必要なものなど、開業準備の傍らで行うにはちょっと負担の大きい場合、もしくは確実に許認可を得たい場合には、信頼のおける行政書士にまずはご相談してみてはいかがでしょうか。

ちょっとした手違いで許認可を受けられなかったり、時間がかかってしまうことで、事業活動自体に支障をきたすことのないよう、専門家にお任せすることも大切ではないかと思います。

 

 

 

「知的資産」を活かす経営

これまで「知的資産」とはどういう性質の資産なのかということをお伝えしてきました。

資産は有効に活用してこそ価値があります。そこで、「知的資産」を経営に活かすにはどうすればいいのかを考えてみましょう。

 

例えば、”競合他社製品と比べて2倍の耐久性能を持つ製品”という「知的資産」を持っているとします。

ひとつのアイディアとしては、これを宣伝文句として用いて製品のプロモーションを強化することが考えられます。

別のアイディアとしては、耐久性が求められる市場に特化していくということも考えられます。

他にもいろいろなアイディアが生まれてくるでしょう。

これらに共通していることは、「知的資産」であらわされる”特徴”を活かして”強み”に変え、売り上げを伸ばすことを画策している点です。

 

”ある従業員が高いクレーム対応能力を持っている”という「知的資産」を考えてみましょう。

クレーム対応能力は、企業のアフターサポートをはじめとするサービス品質の向上に繋がります。

経営に活かすひとつの方法としては、従業員のやり方を分析整理してマニュアル化し、他の従業員でもある程度の対応力がつけられるようにすることが考えられます。

別の手としては、その従業員を特別サポート要員として困難な案件のみ対応させることとし、対応業務全体での効率化を図るということも考えられます。

これらも、「知的資産」という”特徴”を”強み”に変え、企業の価値向上を図る取り組みとなります。

 

このように、「知的資産」を単なる”企業の特徴”に終わらせず、”企業の強み”となるように工夫することが、「知的資産」を経営に活かすことにほかなりません。

そして、そのやり方には決まった解はないのです。

企業の置かれている状況、「知的資産」の特徴の程度、人的要素、環境その他さまざまな要因で、取るべきやり方が違ってきますし、経営者自身の好みに左右されることもあります。

ただ、ひとつだけ共通することがあり、こうした対応は直接的にせよ間接的にせよ「企業の利益拡大」に貢献しているということです。

 

例えば、先の”クレーム対応能力の高い従業員”の場合、単に「わが社にはクレーム対応能力の高い社員がいる」と宣伝したところで、「企業の利益拡大」に繋がるとは思えません。

これでは「知的資産」を経営に活かせていないことになります。

 

「利益拡大」に繋がるよう「知的資産」を”企業の強み”に変えていくこと。

これが「知的資産」を経営に活かすコツです。

 

 

 

契約を取り消すことはできますか

契約は、いったん締結したらもはや取り消すことはできないのでしょうか。

 

結論から言うと、一定の条件が揃えば取り消すことができます。

ただし、もともと契約の成立そのものに疑問があるようなケースに限り認められています。

まあ、簡単に取消ができてしまうようでは、そもそも安心して契約などできませんから、当然と言えば当然ですね。

 

では、どのような場合に認められているかと言うと、大まかに以下のケースに限定されています。

 

■詐欺、強迫による契約の場合

契約そのものが、相手の詐欺や脅迫によって締結されたものである場合には、詐欺だと気付いた時点あるいは強迫から逃れた時点から一定の期間内であれば、契約そのものを取り消すことができます。

契約そのものが、お互いの正常な判断のもと締結されたとは言えず有効とは言えない訳で、詐欺もしくは脅迫の被害者に、契約そのものを無かったことにする権利を与えているのです。

 

ただし、詐欺もしくは脅迫した相手と自分以外に、そのことを知らない第三者が関与していた場合には、取り消せる範囲に制約を受ける場合があります。

 

■行為能力制限者が行った契約の場合

行為能力制限者というのは、その人だけでは契約などの法律行為が安心して行えないだろうと判断される人のことで、例えば未成年者、痴呆症などで正常な判断が困難な方などが該当します。

これらの方々を保護する立場の人は、必要に応じて、自らが保護する行為能力制限者が行った契約を取り消すことができます。

そもそも、満足に契約内容を理解しての締結か怪しい訳で、行為能力制限者の権利を保護するために、保護者に取り消す権限を与えているのです。

 

■その他特殊なケース

特別に法律によって定められている取消要件に一致する場合に認められる特殊なケースがいくつか存在します。

例えば、「書面によらない贈与契約」の場合、贈与者はまだ贈与していない分については、自分の都合のみで取り消すことができます。つまり「これ以上はもうあげない」と勝手に決めることができるのです。

ただし、キチンと契約書なりの書面で約束してしまっていた場合には、勝手に取り消すことができませんので、貰う側はやはり契約書の形にしておけば安心です。

 

ここまで読まれて、上記以外にもいろいろ契約を取り消している場面、例えば”レストランの予約の取消”とか、”通信販売で購入した商品の返品”とか、これらは該当しないのか、という疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思います。

 

これらも一般には「取消」という言葉を使いますが、法律的には「解除」もしくは「撤回」といい、「取消」とは区別しております。

この区別は各々の法律的な性質の違いによるもので、最も大きな違いは、「取消」は原則として相手の同意を必要としないのに対して、「解除」「撤回」は同意を必要とするものです。

また、それ以外にも細かい差異があります。

 

次回、その点をもう少し掘り下げてご紹介します。

 

 

 

行政書士業務:自動車関連

自動車に関する諸手続きは、行政書士業務のなかでも主要なもののひとつです。

 

自動車を所持し利用するためには、陸運局に登録しナンバープレートを貰わないといけません。

その際に、きちんと自動車の保管場所があることが前提となり、そのための証明書を、事前に最寄りの警察署に申請し交付してもらう必要があります。

そうした一連の手続きは、通常は購入先の自動車ディーラーが代行していることから、自動車購入者があまり意識することはありませんが、手続自体を自動車ディーラーと提携する行政書士が請け負うことも多いのです。

 

主な業務内容を以下にご紹介します。

 

■車庫証明

最寄りの警察署にて所定の申請を行うと、数日後に警察署が現地を視察し問題ないことが確認できると車庫証明書とシールが配付されます。

元来、所有者本人でも申請できるレベルの難易度ですが、警察署に2度赴かなければならない、各警察署により若干ルールが異なるといった理由から、行政書士に依頼されるケースが多いです。

 

■自動車登録、名義変更

陸運局に申請し、自動車のナンバープレートの交付および封印を行ってもらうための一連の手続きを行います。

封印とは、ナンバープレートを勝手に取り外しができないようにするために、後部プレートの左上に施されるもので、通常は陸運局内にある封印所にて行います。

ただし、「出張封印」という、わざわざ陸運局まで自動車を持っていかなくても自分の駐車場にてプレート交換ができるサービスを行政書士が手掛けています。

 

このように、比較的容易な手続き業務ではありますが、駐車場のある地域で実際に手続きをしなければならないなど手間のかかる面もあり、そうした点から行政書士に代行を依頼することの多い業務でもあります。

 

 

なお、余談ですが、中古自動車の名義変更に関しては注意が必要です。

自動車ローンの関係から、所有者が使用者でなく自動車ディーラーの場合もあり、手続きが煩雑になるケースもあります。また、キチンと所有者変更手続きを行われていないことによるトラブル事例も散在しております。

そうしたトラブルにならないためにも、購入前に名義に関する事項を売主に確認し合意しておくこと、適切に名義変更を行っておくことをお勧めします。

 

相続に伴う名義変更についてもご注意ください。

キチンと遺産相続分割協議が完了してから行わないと、名義変更自体が無効になる可能性があります。

 

自動車も立派な資産です。たかが車と安易に考えずキチンと権利関係を整理することも重要です。