行政書士業務:事実関係に関する書類関連

行政書士の業務は、行政書士法にて

「官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成すること」

と定められています。

この中で「事実証明に関する書類」とはいったい何でしょうか。

 

日本行政書士会連合会サイトによると「事実証明に関する書類」とは、社会生活に交渉を有する事項を証明するにたる文書とのことです。

 

もうちょっと噛み砕いて説明すると、

・事実に基づき公的に事実と認められるための証拠となりうる文書

例:各種議事録、会計帳簿、内容証明書、実地調査に基づく各種図面類(位置図、案内図、現況測量図等)

など、いわゆる「証拠書類」「疎明書」と呼ばれる類のものです。

 

例えば官公庁に各種申請手続を行う際に、申請内容に嘘偽りがないことを証明する必要があるケースは多々あります。

そういう場合に、その事実を証明する書類の存在は大変重要となってきますが、事実に基づく内容であることは当然のこと、その事実をキチンと正しく伝えて疑問を持たれないよう説明することも肝要です。

何をどう説明すればいいのか、その根拠はなにか、どんな要件を文書内に盛り込まなければいけないのかといったことを的確に押さえ書面化することは、許認可を主要業務とする行政書士には必須のスキルであり、したがってこうした「事実証明に関する書類」を作成することはお手の物です。

 

ただし、他の法律(弁護士法、税理士法、社会保険労務士法など)で制限されているものについては、行政書士は作成することはできません。

このあたりは「権利義務に関する書類」と同様です。

 

なお、会計帳簿代行業務は税理士の業務ではないかと誤解されがちですが、税理士にのみ認められているのは税務書類の作成業務であり、単なる会計帳の記帳代行による書類そのものは税務書類の元本にはなりますが税務書類ではありません。

ですので「事実関係を証する書類」の作成ということで行政書士業務として認知されています。

 

「事実証明に関する書類」は「権利義務に関する書類」と同様、必要なときにキチンと役目を果たせる代物でないと意味をなしません。

特に重要な書類に関しては、できればきちんと専門家を関与させることをお勧めします。

 

 

 

融資支援ツールとしての「知的資産経営」

知的資産経営の最後の活用方法は「融資支援ツール」としての活用です。

 

ここで最初にお断りしておきますが、知的資産経営をしているからといって融資を保障するものではありません。時おり、知的資産経営によって確実に融資が得られるとか増資ができるとか、過大な期待を持たれる方もいらっしゃいますが、あくまでも融資なり増資を計画する際に役立つという意味合いです。

 

もともと知的資産経営は、設備や金融資産、人件費といった財務情報からは分からない、”のれん”や”ブランド価値”などといういわゆる「非財務情報」を客観的に評価できないかという視点からも研究されてきました。

 

かつては企業の利益の源泉は財務情報を見ればある程度判断できました。

ところが近年では、そうした財務情報からは推し量れない企業の成長性をより具体的に把握したいというニーズが高まっています。

例えば投資家の場合、より成長性の高い企業に投資することで、高いリターンを期待することができます。また金融機関の場合、どの程度までなら融資をしても安全に回収できるのかを判断することができます。そうした背景から、「非財務情報」を客観的に評価できるツールとして知的資産経営が注目され始めているのです。

 

特に知的資産経営報告書は、企業の沿革、理念から、知的資産をもとにした価値創造ストーリー、財務との連動、および今後の取り組みと課題などがある程度客観的に把握でき、投資家や金融機関が求めている情報が網羅されています。

 

この知的資産経営報告書をもとに、投資家向けにIR情報という形で公開することで、株式等の投資の判断材料を増やすことができ、結果としてより多くの投資を得られる可能性が高くなります。

また、金融機関への融資の際に知的資産経営報告書を添付することで、非財務情報という形で現状の財務情報を補完し、より有利な融資を受けやすくすることが期待できます。

 

もちろん最終判断は投資家であり金融機関ですので、こうした非財務情報の提供で確実に融資なり増資が実現できる訳ではないことはご留意ください。

あくまでも企業の成長性に客観的な説得性を持たせるツールですので、過大な期待をせず、適切に活用することが肝要です。