融資支援ツールとしての「知的資産経営」

知的資産経営の最後の活用方法は「融資支援ツール」としての活用です。

 

ここで最初にお断りしておきますが、知的資産経営をしているからといって融資を保障するものではありません。時おり、知的資産経営によって確実に融資が得られるとか増資ができるとか、過大な期待を持たれる方もいらっしゃいますが、あくまでも融資なり増資を計画する際に役立つという意味合いです。

 

もともと知的資産経営は、設備や金融資産、人件費といった財務情報からは分からない、”のれん”や”ブランド価値”などといういわゆる「非財務情報」を客観的に評価できないかという視点からも研究されてきました。

 

かつては企業の利益の源泉は財務情報を見ればある程度判断できました。

ところが近年では、そうした財務情報からは推し量れない企業の成長性をより具体的に把握したいというニーズが高まっています。

例えば投資家の場合、より成長性の高い企業に投資することで、高いリターンを期待することができます。また金融機関の場合、どの程度までなら融資をしても安全に回収できるのかを判断することができます。そうした背景から、「非財務情報」を客観的に評価できるツールとして知的資産経営が注目され始めているのです。

 

特に知的資産経営報告書は、企業の沿革、理念から、知的資産をもとにした価値創造ストーリー、財務との連動、および今後の取り組みと課題などがある程度客観的に把握でき、投資家や金融機関が求めている情報が網羅されています。

 

この知的資産経営報告書をもとに、投資家向けにIR情報という形で公開することで、株式等の投資の判断材料を増やすことができ、結果としてより多くの投資を得られる可能性が高くなります。

また、金融機関への融資の際に知的資産経営報告書を添付することで、非財務情報という形で現状の財務情報を補完し、より有利な融資を受けやすくすることが期待できます。

 

もちろん最終判断は投資家であり金融機関ですので、こうした非財務情報の提供で確実に融資なり増資が実現できる訳ではないことはご留意ください。

あくまでも企業の成長性に客観的な説得性を持たせるツールですので、過大な期待をせず、適切に活用することが肝要です。