「知的資産」を活かす経営

これまで「知的資産」とはどういう性質の資産なのかということをお伝えしてきました。

資産は有効に活用してこそ価値があります。そこで、「知的資産」を経営に活かすにはどうすればいいのかを考えてみましょう。

 

例えば、”競合他社製品と比べて2倍の耐久性能を持つ製品”という「知的資産」を持っているとします。

ひとつのアイディアとしては、これを宣伝文句として用いて製品のプロモーションを強化することが考えられます。

別のアイディアとしては、耐久性が求められる市場に特化していくということも考えられます。

他にもいろいろなアイディアが生まれてくるでしょう。

これらに共通していることは、「知的資産」であらわされる”特徴”を活かして”強み”に変え、売り上げを伸ばすことを画策している点です。

 

”ある従業員が高いクレーム対応能力を持っている”という「知的資産」を考えてみましょう。

クレーム対応能力は、企業のアフターサポートをはじめとするサービス品質の向上に繋がります。

経営に活かすひとつの方法としては、従業員のやり方を分析整理してマニュアル化し、他の従業員でもある程度の対応力がつけられるようにすることが考えられます。

別の手としては、その従業員を特別サポート要員として困難な案件のみ対応させることとし、対応業務全体での効率化を図るということも考えられます。

これらも、「知的資産」という”特徴”を”強み”に変え、企業の価値向上を図る取り組みとなります。

 

このように、「知的資産」を単なる”企業の特徴”に終わらせず、”企業の強み”となるように工夫することが、「知的資産」を経営に活かすことにほかなりません。

そして、そのやり方には決まった解はないのです。

企業の置かれている状況、「知的資産」の特徴の程度、人的要素、環境その他さまざまな要因で、取るべきやり方が違ってきますし、経営者自身の好みに左右されることもあります。

ただ、ひとつだけ共通することがあり、こうした対応は直接的にせよ間接的にせよ「企業の利益拡大」に貢献しているということです。

 

例えば、先の”クレーム対応能力の高い従業員”の場合、単に「わが社にはクレーム対応能力の高い社員がいる」と宣伝したところで、「企業の利益拡大」に繋がるとは思えません。

これでは「知的資産」を経営に活かせていないことになります。

 

「利益拡大」に繋がるよう「知的資産」を”企業の強み”に変えていくこと。

これが「知的資産」を経営に活かすコツです。