行政書士の業務は、行政書士法にて
「官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成すること」
と定められています。
この中で「権利義務に関する書類」とはいったい何でしょうか。
日本行政書士会連合会サイトによると「権利義務に関する書類」とは、権利の発生、存続、変更、消滅の効果を生じさせることを目的とする意思表示を内容とする書類とのことです。
もうちょっと噛み砕いて説明すると、
・権利を得たり義務を発生させる(変更や消滅を含む)ことを目的とした文書類
例:各種契約書、示談書、会社の定款、遺産分割協議書、協議書、上申書、請願書、告訴状など
・権利や義務があることを証明することを目的とした文書類
例:借用証書、各種請求書、内容証明、覚書、念書、始末書、陳情書など
といった書類が対象となります。
ただし、他の法律(弁護士法、税理士法、社会保険労務士法など)で制限されているものについては、行政書士は作成することはできません。
逆に言うと、他で制限されていないものは、原則として当事者以外でその書類を作成することのみをもって対価を得ることができるのは弁護士と行政書士のみとなります。
なお就業規則については、社会保険労務士の業務となるため行政書士が作成することはできませんが、社会保険労務士が誕生する以前から行政書士だった場合には社会保険労務士の資格を自動的に与えられていましたので、業務歴のかなり長い行政書士のなかには作成できる方もいらっしゃいます。
一部で行政書士業務と誤解されている場合がございますのでご注意ください。
権利義務に関する書類の場合、要式が整っていないと効果を発生しない場合もございます。
例えば、遺産分割協議書の場合、推定相続人すべての署名押印が揃っていないと無効になります。
また、しっかりと権利義務に関する取り決めを網羅していないと、いざというときに意味のない書類になることもございます。
権利義務に関する書類は、できればきちんと専門家を関与させ作成することをお勧めします。