契約を取り消すこと、契約を解除すること

予約をキャンセルする、いったん購入した商品を返品する、契約を破棄する、など、「契約」を取り消す行為は一般的によく見受けられます。

実は、これらは法律学的にいうと、「契約」の「解除」という表現を用いて、「契約」の「取消し」とは区別しています。

どっちでも「契約」が無くなるのだから同じじゃないか、と思うかもしれませんが、その意味合いが大きく異なるため、区別しておく必要があるのです。

 

■契約の取消し

・もともと契約の成立自体に問題があり、一応有効とは扱われるが、契約自体の有効性に疑問があると扱われる。
・取消しを行えるケース、および取消権を持つものは法律によって定められたものに限られている。
・取消しは、取消権者の一方的な意思表示で成立する。
・取消しが行われると、契約は最初から無かったものとみなされる。
・契約の当事者は、原状回復(物事を契約時の状態に戻す)義務を負う。

 

■契約の解除

・契約の成立自体には問題が無く、有効に成立していたと扱われる。
・解除を行えるケースには様々なものがあり、当事者間の合意で決めることができるものと、法律で定められているケースとがある。
・解除は、解除条件を満たす場合に、解除できると定められた者(解除権者)による一方的な意思表示によって成立する。
・解除が行われると、契約は最初から無かったものとみなされるが、”解除したときから”と扱われるケースもある。
・契約の当事者は、原状回復(物事を契約時の状態に戻す)義務を負う。ケースによっては損害賠償責任を負う場合もある。

 

細かい部分での違いはもう少しありますが、概ね以上のような違いがあるとだけご理解いただくだけで十分です。

 

なお、「解除」を行えるケースとしては、以下のようなものがあります。

・契約の際に「解除条件」を定めており、解除条件が成立した場合に、解除できると定めた側からの解除
・一方が期限内に契約を実行しなかった場合の、他方からの法律に基づく解除
・両者の合意による解除

 

もっとも、日常生活をしている中では、上記の違いを意識することはさほど無いかと思いますが、「契約」にあたり以下の点は留意しておくことをお勧めします。

・契約内容に自分に不利な「解除条件」が存在しないか
・「解除条件」が自分に不利にならないよう定めるべきか

 

また、不利な契約を締結してしまい取り消したくても取り消せないと諦めないでください。

一見取り消しができないと思われるケースであっても、法律で定められた要件を満たすことで取り消せる場合があります。

 

行政書士は、そのようなケースについて対応しておりますので、お気軽にご相談ください。