入管業務は、正しくは申請取次業務といい、士業として取り扱うことができるのは弁護士と行政書士のみです。
ただし、実際に申請取次業務を行うためには、あらかじめ入国管理局が取扱を承認されている必要があり、弁護士や行政書士なら誰でもできるという訳ではありません。
さてこの申請取次業務ですが、具体的には日本に滞在する外国人の在留ビザに関する手続きの申請を取次ぐことを業務としています。
外国人が日本に滞在するためには、なんらかの在留ビザが必要となり、その取得のための手続きは本人が入国管理局に出頭して行うのが原則となっています。
ですが、申請取次業務を行うことができる者が、本人の代わりに申請手続きを代行し、本人は出頭しなくても済むようにすることができるのです。
申請が許可されるかどうかについては、入国管理局の裁量も大きく、できるだけしっかりとした情報を揃えたうえで申請したほうが許可の可能性が高まることから、専門家である申請取次業務取扱行政書士の果たす役割は大きいと言えます。
さて、在留ビザに関する手続きには、大きく以下の種類があります。
●在留資格認定証明書の交付手続き
外国人が日本に来るためには、まず適切な在留資格を取得する必要があります。
そのために”日本国内”にて、入国管理局にて事前審査し「在留資格認定証明書」を発行してもらい、それを海外にいるその外国人に送付。証明書を受け取った外国人は、現地の在外公館にそれを提出しビザを受け取ります。
●在留期間更新の手続き
在留ビザには、「永住」などのごく一部の資格を除き、6か月から最長5年までの有効期間が定められています。
有効期限が切れる前に、その更新の手続きを行い、改めて資格の要件を満たしているかの審査を受けたうえで許可されることになります。
●在留資格変更の手続き
在留ビザには27の資格区分があり、それぞれの資格に応じた活動しか許されません。また、資格の要件も定められていますので、要件を満たさなくなった場合、もしくは活動内容を変更したい場合には、変更の旨を申請し、審査を受けなければなりません。
●就労資格証明書の交付手続き
現在の就労資格での活動範囲を証明したい場合に、入国管理局に申請して「就労資格証明書」を交付してもらえます。
●資格外活動許可の手続き
在留ビザの種類によっては、就労してはいけないものもあります。代表的なものに、「留学」「家族滞在」などがあります。
また、現在の在留ビザで許可されている以外の職を兼務したい場合もあります。例えば「技術」では通訳や語学教室の教師をアルバイトで行うことができません。
このような場合に、「資格外活動」したい旨を入国管理局に申請することにより、活動範囲を広げることができます。
もっとも、広げられる範囲には制約がありますし、無条件で認められる訳ではありませんので、注意が必要です。
●再入国許可の手続き
在留外国人が、一時的に日本を離れる場合には、あらかじめその旨を申請し許可を得る必要があります。
この許可を得ずに出国してしまった場合、在留許可そのものが消滅してしまうので、再入国しようとするためには、改めて在留資格認定から始めなければいけません。
こうした手続きを代行し、外国人が安心して日本で暮らせるようにサポートすること、またキチンと手続きをすることで不法滞在や不法就労を減らすことが、申請取次業務を取り扱う行政書士に求められていることです。